対談・インタビュー・寄稿など

著作


『バブル』(光文社)2020.09.17
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ブックデザイン:鈴木成一デザイン室
カバーイラスト:飯田淳

「会社を愛して頑張る―それ一本でやってきた、そんな社員はもういらないのだろうか」
〈会社ラブ〉をつらぬいたカンパニーウーマンの終焉。

幻冬舎創業期を支えた元ベストセラー編集者山口ミルコ、
ボスとの出会いから別れまで―。
同時代を生きた異業種の女性たちの発言を織り込みながら
自らの会社人生を綴る、異色のストーリー。

外資系企業勤務を経て入社した出版社で、名物編集者「ボス」の薫陶を受けた著者が、ボスとの出会いから別れまでを、同年代の働く女性へのインタビューとともに振り返った。
ボスに心酔していた著者は、徹底的に仕事を愛し、会社を愛した。ベストセラーを手がけ、大けがや大病、退社など、描かれる人生の展開に目が離せない。ジェットコースターのような激しさは、バブルの余韻で成長を続け、その後反転する出版業界を象徴するようだ。「人は時代と仕事する」という表現が著者ほど似合う人はそういない。
商社員やキャビンアテンダントといった、インタビュー対象の女性たちも、組織や世間との格闘や様々な浮沈を経て、今に至っている。読めば誰しも、自らの来し方を考えるはずだ。
(佑)――読売新聞・評
ベストセラー『大河の一滴』などを世に送り出してきた元編集者が出版業界での日々を「バブル」をキーワードにして振り返ったノンフィクション。
バブル期、飛ぶ鳥を落とす勢いの雑誌編集長「ボス」に編集者魂をたたき込まれた著者は、彼が立ち上げた幻冬舎の創業期を支える。時代はバブルの崩壊からリーマン・ショックへ・・・。日本の激動期と重なる<会社ラブ>の猛烈人生はやがて終わり、著者は自らの病気と向き合うことになる。異業種で働く同世代の女性の声も織り込まれ、実像が伝わりにくいバブルの光と影を映す貴重な精神史となっている。――産経新聞・評

 


『ミルコの出版グルグル講義』(河出書房新社)2018.01.24
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ブックデザイン:鈴木成一デザイン室

大学での編集講義、1年半の記録。
数々のベストセラーを放ってきた伝説的編集者が
編集者をやめたから見えてきた
出版の仕組みとその本当の姿をグルグルしながら教えます。

幻冬舎の在籍時、多くのベストセラーや話題書を放ち続けた有名編集者であった著者は同社退社後、ガンを発症して、これと闘い、その記録を『毛のない生活』として刊行して話題となりました。その後も2冊の著作を刊行するとともに、大学で出版を教えてきました。
本書はその大学での出版講義と自身の編集者としての半生をかさねあわせた書かれた出版とは何かを考える一冊です。大学で若者たちに教えながら、書店や倉庫、古紙再生工場、印刷所などの現場に足を運び、自身の編集者時代をふりかえり、すべてが「グルグル」廻っていく本の世界を多面的に真摯に見つめなした本書はいままでになかった出版への入門書となりました。そのユーモラスな筆致の間からは深い叡智を秘めた言葉が閃くようにあらわれて、出版の世界に関心のない読者をも強く励ます人生の書でもあります。 阿部晴政(河出書房新社・取締役編集本部長)

 

●カバーの「蛇の回転錯視」について
北岡明佳の錯視のページ
https://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

 


『似合わない服』(ミシマ社)2017.08.20
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ブックデザイン:名久井直子
カバー+本文イラスト:吉田戦車

会社をやめ、浪費をやめ、肉食をやめ、社交をやめ、東京を離れ、坊主になり、がんを克服した。…でも、何かがずっと、おかしかった。

これは、行き場のない私に行き場を与えるための、グルグルを綴った手記である。

20年勤めた会社を退社直後に乳がんの宣告を受け、闘病を終えた著者は思索の旅に出ます。

がん=バブル=資本主義? もしかしてそれらをぜんぶひっくるめて、私たちの着ていた「似合わない服」と呼んでいいのではないかしら?(中略)「似合わない服」は原因であり、結果でもある。「似合わない服」はいっときの「似合う服」であり、自分のところにやってきたそれを、自分から拒むことはなかなかできないのです。――「まとめ」より

旅を終えて、著者が見つけた「これからの服」とは――?

『似合わない服』は、バブルと呼ばれた時代にもりもりと仕事をされた山口ミルコさんが、退社、病を経て、「今」という時代をどう生きていくか、その葛藤を赤裸々につづった一冊です。と書くと、ミルコさんの個人談の域を出ないように感じられるかもしれませんが、私は「ぼくの話」として読みました。なぜなら、引き裂かれるような二つの真逆な価値観の中にいるのが「今」だと思うからです。「答え」より「葛藤」にこそ耳を貸したい。「今」、必要なのはそういうことだと思っています。
三島邦弘(ミシマ社・代表取締役社長)

 


『毛の力 ロシア・ファーロードをゆく』(小学館)2014.12.10
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ブックデザイン:櫻井浩+三瓶可南子(⑥Design)
カバー撮影:石黒幸誠(go relax E more)

何度でも 復活しよう そうしよう
抗がん剤治療によって経験した「毛のない生活」は、
私に新たな生き方をもたらしてくれた。
「もう振り返らない、立ち直らねば」
私の再出発への日々が始まった――。

話題作『毛のない生活』から2年。実家に戻り闘病後の生活を送っていた著者は、自らの名前・ミルコのルーツにもなっているロシアへと「再生の旅」に出ることを決意する。
弱い体に鞭打って、極寒のシベリア、先住民族・ウデヘの住む村と「毛皮のために命を狙われた獣」クロテンを追う中で、著者は「人間と自然」、「人間と動物」の本当の関係に思いを巡らせる。
今を懸命に生きるすべての人に捧げる書き下ろしエッセイ。

ミルコがタダモノでないことは知っていた。
けれど、傷つき、あがき、立ち上がったミルコはもはや、タダモノでないどころの騒ぎではない。(阿川佐和子)
ほんとうに思ったことだけでできてる本は、なんて心地いいんだろう。
悲しい現実の物語なのに、ふさふさにふわりと包まれた。(よしもとばなな)
ひたすらに、がむしゃらに、真摯に、「生きる」ことと向き合って綴られた真っ直ぐな言葉たち。人生は時には立ち止まり、時には後退を余儀なくされることもありますが、最後は前を向いて進まなければならないものです。
この本には、その「前を向く力」「先に進む方法」のヒントになる言葉がたくさん詰まっています。弱い身体に鞭打つように極寒の地にミルコさんを行かせてしまったこと、ちっとも後悔していません。だって、こんなに素晴らしい言葉たちを届けてくれたから(ミルコさんは怒ってるかもしれませんが…)。人は何度でも復活できるんです!
新里健太郎(小学館「週刊ポスト」副編集長)

 


『毛のない生活』(ミシマ社)2012.02.17
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ブックデザイン:鈴木成一デザイン室
カバー写真:ナカダシロウ

「ガンが見つかったのは、退社した矢先のことだった――」
敏腕編集者、会社大好き、そんな著者が思いもよらぬ退社。その一カ月後、ガンを宣告され、突然闘病生活が始まる。「まさか自分が坊主になろうとは。起きてマクラが髪の毛だらけで真っ黒だったあの朝のことは、生涯忘れないだろう」。何も「ない」日々のなかで見えてきた「これから」の生き方。毎日を真摯に生きる全ての現代人に捧げる渾身のエッセイ。

人生最大の苦難を、明日への道しるべに変えた女性。それがミルコさんだ。
(小川洋子)
これを読んで、「山口ミルコ」という生き方を応援しないでいられる人はいないと思う。 (谷村志穂)

プロフィール

幼少期より音楽に親しみ、エレクトーン、フォークギターを演奏。中高時代は吹奏楽部でウインド・オーケストラ、大学ではスィングジャズ研究会のビッグバンド=ジャズオーケストラに熱中、サックス・クラリネット・フルートの演奏を卒業後も続けた。
大学は文学部英米文学科でシェイクスピアなどを読み、ゼミはアメリカ西部開拓史だった。
大学卒業後、アメリカの巨大金融グループの一社に就職するも、総合出版社の大物編集長との出会いがあり転職。月刊誌の雑誌編集者として5年。上司の独立にともない新出版社に移り、その創業期より15年にわたりプロデューサー・編集者として勤める。人気作家の小説や人気俳優・ミュージシャンのエッセイ・写真集など書籍編集のほか、雑誌の創刊や映画製作に関わる。また、海外留学旅行社の広報誌の編集長を10年にわたり勤め、英・米・豪・加などへの度々の出張で、海外取材の経験をつんだ。
リーマンショックを機に退社を決意、2009年3月に独立。
フリーランスとなった矢先に乳がんを発症。3年後、その闘病記を上梓。以降、エッセイ、ノンフィクションを執筆するほか、大学で編集講義をおこなう。近年はロシア極東・シベリア地域に興味を持ち、北方民族などを取材している。